画像の出所:https://www.dw.com/en/why-both-biden-and-trump-oppose-japans-takeover-of-us-steel/a-71208746
アメリカのジョー・バイデン大統領は、住友工業によるアメリカの競合、USスチール社の149億ドルの買収提案を拒否しました。
バイデン大統領は、国の安全保障や重要な供給チェーンにリスクをもたらすという理由でこの決定を下しました。
「この買収は、アメリカの大手鉄鋼生産者の一つを外国の支配下に置くことになり、我々の国の安全保障や重要な供給チェーンにリスクを生じさせます。」とバイデンは声明で述べています。
鉄鋼セクターのような重要な産業は、国内のプレーヤーの管理下にあるべきだと彼は以前から言っています。
この合併は、昨年11月のアメリカの大統領選挙で、ペンシルバニア州のような重要なスイング州において大きな問題となりました。
USスチールはペンシルバニア州に本社を構えています。
労働組合の全米鉄鋼労働者連合(United Steelworkers)は、この取引に対して激しく反対しました。
バイデンの拒否は、米国企業が外国の企業に買収されることに対する警告と考えられています。
住友工業は、この買収により、米国での鉄鋼生産を促進し、競争力を高めると主張していました。
国務省や産業専門家は、この企業が中国からの安価な鉄鋼のダンピング問題を殲滅するためのワシントンの試みに悪影響を及ぼす可能性があると警告しています。
バイデン大統領の決定は、住友工業が米国で競争するために必要な資本と技術を確保する上での課題をさらに惹起することになるかもしれません。
住友工業はこの合併にあたり、ペンシルバニア州およびインディアナ州のUSスチールの施設に対し、27億ドルの資本投資を約束し、本社をピッツバーグへ移転する意向も示していました。
日本の岸田文雄首相は、この合併が両国間の関係を弱めることがないように、バイデンに承認を求めていました。
会社の独立性を維持することはできても、USスチールは今後、より良い資金調達の機会を見つけることに苦労することになります。
住友工業は、合併が国の安全保障に関する懸念を引き起こさないものであると主張し、法的措置を講じる意向も示しています。
この決定は、他の国際的な投資家に対して、国の安全保障が重要視される企業への投資には政治的・規制的な障害が存在することを示すシグナルとも解釈されているでしょう。
バイデンの拒否権行使は、国際投資家に対する警告になり得る一方で、鉄鋼産業の競争環境をより困難にすることになるかもしれません。
また、EUが住友工業などの外国投資を鉄鋼産業に求める動機にもつながる可能性があります。